『生命の部屋』 vol.2 石川卓磨

2006年7月18日(火)~7月29日(土)

photo:最期の日, 写真, 46.7x59cm, 全7点, 2006 (C)Takuma Ishikawa


第2回「αMプロジェクト2006」のアーティストには、石川卓磨(1979年千葉県生まれ)を選んだ。
石川は、武蔵野美術大学大学院で油絵を専攻していたが、現在、芸術表現として写真というメディアを採用している。しかし彼の写真表現には、多分に絵画的思考が見え隠れする。映画やドラマのワンシーンを彷彿させるような物語性を含んだ表現は、私達に様々なストーリーを想像させる。観る者が作品から受けるイメージを膨らませることにより、それぞれ独自の物語を頭の中で描いていくことになる。それは、図像を読み解いていくという方法であり、その方法は極めて絵画的な手法が盛り込まれた写真でもある。まさに観る者が作品を作ることになるというマルセル・デュシャン的な芸術観に満ちあふれているともいえるのではないだろうか。
今回の「生命の部屋」というテーマをどのように組み立てて構成してくれるのかを楽しみにしている。石川が考える「生命」に対する思いとはどのようなものであろうか。過去の作品から推測すると、そこには、物語としての殺人事件や自殺現場が立ち現れるのか、はたまた山や川といった自然環境としての生命体が写し出されるのか。良い意味で、予測を裏切られる展開を期待する。

加藤義夫