クリストファー・ライオンの個展にあたって


1999年12月4日~12月25日


クリストファー・ライオンの個展にあたって

藤枝晃雄

ここに、若きアメリカの画家、ライオンを紹介する。

本展は、特別の理由がない限り、新人作家を取り上げること、それが日本人に限られるものではないというわれわれの主旨に沿っている。もっとも、海外で制作する作家の選別は、名の知れた人たちの場合はもとより、相も変わらぬ単なる新しさに飢えた状況のなかで―これは現在では悪しき意味でのアカデミイズムの領域に著しい―たとえばミィディア・アートのように質の如何に拘らず寛大に扱われる媒質の場合ならば簡便である。これに対して、絵画となるといわゆるポストモダンの時期のそれならばいざ知らず、より困難を伴うが、しかし首尾よくいったときにはきわめて充実したものとなる。
ライオンの作品は、かかる困難さにあって、今日描かれている絵画が如何なるものであるかを示す好例となるであろう。そしてまた、芸術生産とは何ら関わらぬ絵画理論の精巧化の傾向において抽象といえば内容なき純粋性による形式主義であるとする陳腐な決定論への自発的な反駁となるであろう。

※この個展が実現できたのは、画家でペンシルヴェニア大学で教鞭をもとっている中里斉氏の尽力による。記して謝意を表します。