『生命の部屋』 vol.6 川崎広平

2007年1月15日(月)~1月27日(土)

photo:無題, 樹脂、LED、水, 2006 撮影:加藤健 (C)Kouhei Kawasaki


第6回「αMプロジェクト2006」のアーティストには川崎広平(1972年東京生まれ)を選んだ。
川崎広平は、1998年に武蔵野美術大学の彫刻学科を卒業し、2000年に大学院を修了した。初個展は2003年なので、けっして早いデビューではない。30歳を過ぎてからの個展だ。
川崎の彫刻作品は、未来型の建築物や宇宙船、原子炉、コンピュターといった工業製品の一部分のような形体を人々にイメージさせる。それらは人工的なイメージの集積のようにも思えるのだが他方、秘めたる生命の光を持っているともいえる。川崎の多くの彫刻は、透明度の高い樹脂で成型され組み立てられたもので、その中から密やかな秘めたる光が輝くといった仕組みだ。そして作品の完成度は高く安定した仕事をしている。彫刻の内部から密やかに輝く光の源泉こそが、地球誕生の神秘を内包した生命の原型に近いものかもしれない。そんな光輝く彫刻の中に生命をみる思いがした。ある意味で彫刻が主体ではなく光が作品ともいえる彫刻なのかもしれない。
今回のテーマ「生命の部屋」で川崎はどのような展開をみせてくれるのか。光という生命体が飛び交い交信する出会いの場が生まれるのだろうか。期待は高まる。

加藤義夫