『生命の部屋』 vol.5 山本一弥

2006年12月4日(月)~12月16日(土)

photo:[手前]パラノイア/[奥]重力下, 合板・塗料, 2006 (C)Kazuya Yamamoto


第5回「αMプロジェクト2006」のアーティストには山本一弥(1978年高知県生まれ)を選んだ。
2002年に武蔵野美術大学大学院を修了して、ベニヤ合板を積み重ねそれを削りカラフルにペイントする手法で彫刻を作ってきた山本。イメージはとてもポップな彫刻だ。キュピー人形の大きな頭、巨大ステーキの肉片などがゴロゴロと床に転がる。それらを見て、その意味とは何かを人は考え出そうとするが、何の糸口もつかめず当惑することになる。それらとものの関係性とは?
「作品には意味がある」と思うその先入観を逆手に取っての表現。わからないもの理解できないものに出会った時の人々の衝撃と困惑。すべてのものに意味や理由が明確にあるわけではないことをほのめかす。わからないことを良しとし面白いと考える山本の考え方は、ユニークで独自性に富む。しかし、山本の母がこれらの作品をみれば、彼が何を創造し作り出しているのかを感じることができるという。誰もしらない幼い頃の原風景や原体験がそこに浮かび上がる。
今回の「生命の部屋」というテーマを彼はどのようにとらえるのだろうか。無意味なものに意味を見いだし、理解や意味性に疑問を持ち続ける山本なりの回答がギャラリーに展開するのを楽しみにしたい。

加藤義夫