αMプロジェクト2019『東京計画2019』

Plans for TOKYO 2019

デザイン : 松本弦人

ゲストキュレーター:藪前知子(東京都現代美術館学芸員)


「東京計画2019」

藪前知子(東京都現代美術館学芸員)

二度目のオリンピックのカウントダウンを控え、大きな力によって変動し続ける東京。再開発が進み清潔に整えられていく一方で、複数のキャラクターを持った街の集合体という特徴は薄れ、画一化と均質化が進み、人々の行動様式にも影響を与えています。今年度のαMプロジェクトでは、5組のアーティストたちの実践により、その諸相をギャラリーに転送し、そこに潜む問題に言及しつつ、単一の経験やシステム、アイデンティティからの脱却と、別の可能性を提示したいと思います。
シリーズタイトルは、戦後の混乱から高度経済成長に突入し、東京オリンピックへと向かって行く時代の流れの中で、1960年、丹下健三研究室が策定した「東京計画1960」を下敷きにしています。湾岸地域と超高層ビルなど海と空への開かれた展開を提案し、開発や成長というヴィジョンに美しい形を与えた幻の都市計画です。東京の爆発的な発展が予言される一方で、すでに都市化が行き詰まりを見せはじめていたアメリカでは、その翌年に、ジェイン・ジェイコブズという一人の女性が、大規模で単一的な開発を批判し、生活者の視点から、異なる要素のパッチワークとしての都市像を提起しています。しかし、それから半世紀以上が経った現在も、東京は大都市という夢を捨てることなく、スクラップ&ビルドの舞台であり続けています。都市は今なお、人々の幸福な生を保証するシステムとして有効なのでしょうか。この連続展覧会をプラットフォームに、「祭りのあと」をサバイブするための指針が生み出されることを期待したいと思います。

 

ゲストキュレーター

▊藪前知子 やぶまえ・ともこ▊
1974年東京都生まれ。東京都現代美術館学芸員。
これまで企画担当した主な展覧会は、「大竹伸朗 全景 1955-2006」(2006)、「MOTコレクション 特集展示 岡﨑乾二郎」(2009)、「山口小夜子 未来を着る人」(2015)、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015)、「MOTサテライト 2017春 往来往来」(2017)、「100年の編み手たち:流動する日本の近現代美術」(2019)(以上、東京都現代美術館)など。札幌国際芸術祭2017の企画チームに参加。キュレーションの他に、雑誌、ウェブ、新聞等に日本の近現代美術についての寄稿多数。