
vol. 1 髙柳恵里|比較、区別、類似点
2022年4月16日(土)– 6月10日(金)
vol. 2 加藤巧|To Do
2022年6月18日(土)– 8月6日(土)
vol. 3 荒木優光|そよ風のような、出会い
2022年8月27日(土)– 10月15日(土)
vol. 4 大木裕之|tiger/needle とらさんの墨汁針
2022年10月29日(土)– 12月17日(土)/23日(金)
vol. 5 高嶋晋一+中川周|無視できる
2023年1月14日(土)– 3月11日(土)
全ては平等に。その呼びかけは、平等であるために過度なまでの正しさを私たちに求める。しかし正しさとはそもそも何だろう。それはときに一つの原理へと向かい、小さな個別の差異を見えなくしてしまうだろう。いうまでもなく、平等であることは同じであることを意味しない。同じでないものを等しいというとき、私たちは尺度を一つにして、個々についてのそれぞれの評価や判断を手放さなければならないのだろうか。そうではなく正しさを超えて区別し、言葉を与えようとすること。それには、私たちが手垢のついた言葉自体を作り直す必要がある。美術と呼ばれるものが少なくとも造形に関わる行為であるならば、その造形=言葉を練り、拠り所にすることで、尺度自体について問い、判断自体を創造的に作ることができるのではないだろうか。独りよがりになることなく、普遍的な外部をもつものとして。
私の判断が普遍性をもつかどうかは他者の判断に賭されている。私の判断を支えるものとして、私の外部を召喚すること。そこで想定されるのは、予め同じ尺度を持たないもの、置き換えできないものであり、その困難な対話が新たな言葉と批評を開く可能性の種となる。
1年の企画をとおして、それぞれの作家とともに判断の尺度について考えてみたい。これまでの尺度を手放して作り直す。この造形=言葉による判断は、世界を測る尺度となる。だからこの行為は、静かに深く政治的でもある。
愛知県生まれ。企画担当した主な展覧会に「寺内曜子 パンゲア」豊田市美術館(愛知、2021)、「岡﨑乾二郎 視覚のカイソウ」豊田市美術館(愛知、2019)、「切断してみる。 —二人の耕平」豊田市美術館(愛知、2017)、「遠隔同化 二人の耕平」「「切断」のち「同化」」KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(京都、2016–2017)、「ほんとの うえの ツクリゴト」岡崎市旧本多忠次邸(愛知、2015)、「ユーモアと飛躍 そこにふれる」岡崎市美術博物館(愛知、2013)など。また、デザイン・装飾芸術に関する展覧会も企画。今年度、「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」(豊田市美術館)を担当開催予定。